いつか自分の「やりたい」が詰まったカフェを開業したい
キッチンから広がる香ばしいコーヒーの香り、自分の得意な料理で作るお客様の笑顔、
自分の好きが詰まったこだわりのインテリア……。
「いつか自分だけのカフェを開きたい」 そんな素敵な夢を抱いている方は多いと思います。
料理が好きで、作るのが得意で、周りからも「おいしいね、お店出来るよ!」と言われたり。得意なことを仕事にするのは、想像するとワクワクしますね!
街にカフェがたくさんある風景、私も大賛成です。

しかし、現実は「3年で7割が廃業する」とも言われる厳しい世界です。
せっかくの素晴らしい思いや、センス、実力があっても、経営のポイントを外すと夢は短期間で終わってしまいます。今回は、カフェ経営を「夢」で終わらせないために、成功と失敗を分ける「5つの決定的なポイント」をお伝えしますね。
1. ターゲットやコンセプトを明確に
「お洒落なカフェ」「みんなが集まる場所」など、漠然としたイメージだけで進むと、コストが増える!?
失敗の兆候: カフェを開業するにあたりターゲットやコンセプトが絞れていないと、メニューや提供内容も変わるため、厨房設備や内装も必要最低限だったり、逆に過剰投資になったりします。
内装業者に言われるがままのデザインにし(業者さんが悪いわけではありません)、後から「この設備が必要だった」「ここが不要だった」が生じ、動線が悪く間取りが使いづらい、など追加投資がかかる場合も。
成功の鍵: 「誰に、どんな価値を提供するのか」という軸を一本通すこと。この軸(コンセプト)さえ固まれば、後述する無駄なリサーチや迷走も防げます。 「お洒落なカフェ」「美味しいパンがある店」……これらはコンセプトではなく、ただの「説明」です。 ターゲットが不明確だと、すべてが中途半端に。例えば、流行りのメニューを次々取り入れたりして、結果的に「誰のための店か分からない」状態に。
ちなみに、「老若男女に来てほしい」とか辞めてくださいね、それが通用するのは公共施設くらいです(笑)。
2. お金の使い方と優先順位
どのビジネスもそうですが、運転資金は不可欠です。無限にお金が出てくるお財布があればいいのですが(私も欲しい)、資金には上限があります。物件や内装、什器にお金を使い切り、運転資金を「オープン後の売上から出せばいい」と考えるのではなく、「運転資金までを開業費用に含めて確保しておく」のが鉄則です。
なぜなら、開店はゴールではなく、本当のスタートだからです。最初のお客様が扉を開ける前から、家賃や人件費という「現実」は動き出しています。ここで最も重要なのは「お金の使い道と優先順位」を間違えないこと。
見栄や体裁、過剰なデータ収集に投資するのではなく、お客様の「美味しい」と「心地よい」に直結する部分に、大切なお金を集中投下する。その決断こそが、オープン直後の不安定な時期を支える「運転資金」を本当の意味で生かし、あなたのカフェを「3年で7割」の廃業リスクから守る唯一の鍵となるのです。
良かれと思って…
- 補助金の呪縛: 「もらえるものはもらおう」と補助金を活用した結果、その条件に縛られ、ビジネスの方向性が変わっても「変更するにできない」「やめるにやめられない」という沼にハマるケース。
- 無駄なリサーチコスト: 「徹底的なリサーチ」は一見、ビジネスをする上で必要に見えますが、数々の現場を見てきた私からすると、同じ条件や現場は一つもありません。なので対策はそれぞれに違います。リサーチはあくまで「大事故を防ぐためのガードレール」に過ぎません。競合を調べることは大切ですが、必要なのは「エリアの相場」や「近い業態の動向」といった最低限の事実だけ。
これらは見えない落とし穴です。
3. 「良いものを作れば売れる」だけじゃない、伝える力
「心を込めて作れば、いつか誰かが気づいてくれる」「おいしいものを作れば勝手に広まる」……これは間違いではありませんが、正解でもありません。どんなに美味しいコーヒーを淹れても、知られなければ「存在しない」のと同じですから。もしあなたの友人が「無人島で、誰にも教えずひっそり隠れ家カフェやるんだ!」って言っていたら全力で止めませんか(笑)?
集客は、オープンしてから考えるのではなく「オープン前から」始まっています。
わたしたちにも身に覚えがありませんか?近所で何か工事が始まった、何ができるんだろう
ちょっと気になる…みたいな。
実際に昔、私が料理教室をOPENする前に店舗の改装工事中、通りすがりの近所の方から
「ここにはカフェが出来るのですか?」と何度も聞かれた、と職人さんから聞きました。
今はそれと同じことをSNSで出来る時代です。また、地域のコミュニティへの参加や、MEO対策(Googleマップ対策)など、能動的にお客様と接点を持つ戦略が必要です。意図的に拡散してもらうためには、やはりコンセプトが必要なのです。
4. 自分にしか出せない「差別化」ができているか?
カフェをやりたいと思ったあなたのその想い、提供したい味、ストーリーが最大の売りになります。
それを体現するのが「売りメニュー」です。あなたのお店でなければ得られない価値。
あなたのカフェの隣に、大手のスターバックスや、安くて便利なコンビニコーヒーができたらどうしますか?
- 選ばれる理由: 「安いから」「近いから」という理由で選ばれるお店は、より安くて近い店ができれば、すぐに選ばれなくなります。安いから来てもらえる、近いから便利、だけだと疲弊するばかりです。
- 個人店の勝ち筋: そこでしか味わえない「体験」を作ること。オーナーであるあなたのストーリーや、お店の醸し出す雰囲気、居心地、お客様の層など、独自の価値が強力な差別化になります。
5. 人手不足を甘く見た「一人経営」の限界
カフェ経営は、華やかなイメージとは裏腹に、非常に泥臭い仕事の連続です。
それを乗り越えるためにはオーナーの思いで立ち上げたカフェとはいえ、一人で頑張るには限界があります。
そこには必ず「働いてくれる仲間」が必要になります。
- 現場のリアル: 早朝からの仕込み、長時間の立ち仕事、トラブルへの対応、定休日のはずなのに休めない…。
人員の確保ができないままオープンし、オーナーやメインスタッフが仕込みから接客、掃除、事務まで全てを抱え込む。結果、一番大切なお客様への笑顔が消え、体調を崩して「やめたくてもやめられない」状態へ。 - 必要なマインド: あなたの「オリジナリティ」を磨く時間を確保するために、オープン前にいかにチームを作るか。そこまでが開店準備です。人材にいかにコストを割けるか。人件費をケチるトップに人はついて行きません。単なる「料理好き」から、一歩進んで「経営者」になる覚悟が必要です。数字から逃げず、改善を繰り返す。その地道な情熱こそが、お店を5年、10年と継続させる唯一の燃料になります。
フードコンサルタント一代の「ここだけの話」
フードコンサルタントとしてカフェの立ち上げに多く携わってきて思うのは、
どの現場もひとつとして同じ形はない、ということです。オーナーの数だけあるといっても過言ではありません。
規模もコンセプトもシチュエーションもそれぞれが違います。
ある程度のセオリーはありますが、「こうすれば絶対成功する」は存在しません。
まずは自身のやりたい気持ち、世界観を最優先にして
そこから具体的にどうしていきたいかを、まずはこの5つのポイントを自分に問いかけてみてくださいね。
その先に必要なものが見えてくると思います。

